診療のご案内

精神班

臨床の概要

精神研究班の臨床範囲は乳幼児期から学童思春期の子どもと保護者における精神的問題です.疾患名では遺伝的要因の強い発達障害(自閉スペクトラム症,注意欠如多動症,知的発達症,限局性学習障害など)と,子どもにおける親子関係や家族生活の問題など環境要因を有する情緒障害(分離不安症,心身症,反抗挑発症,不登校,社交不安症,強迫症,心的外傷後ストレス障害,小児期反応性愛着障害など)に大別されます.子どもの発達,親子のアタッチメント,トラウマについて,子どもの関係機関(幼稚園・保育園・学校,児童福祉施設,保健センター,教育委員会,児童相談所など)と緊密に連携しながら,三世代にわたる家族状況を含めた十分なソーシャルワーク情報の収集を行い,親子それぞれの精神的問題を同定して対処することが求められる点が臨床特徴といえます.つまり小児科医として目の前の子どもだけではなくきょうだいや保護者など家族全体をみる視点が求められています.
精神研究班の医師は少ないですが,本院,葛飾医療センター,第三病院,柏病院,康心会汐見台病院,厚木市立病院,町田市立病院などには臨床心理士が配置されており,多く小児科医により病院を中心とした子どものこころの診療が展開されています.

研究の概要

精神研究班における研究は臨床研究が主体ですが,国立成育医療研究センターこころの診療部の奥山眞紀子氏(昭和54年卒)が多くの厚労科研を主管して,子ども虐待とトラウマに関する研究,慢性疾患を抱えた子どものこころの問題に関する研究,子どものこころの問題に対応する人材育成の研究,東日本大震災後のこころの問題に関する研究などをおこなっています.山崎知克氏(平成5年卒)は注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)の薬物療法に関する臨床研究,不安定型アタッチメントの親子における治療介入に関する臨床研究,ドメスティックバイオレンス(DV)被害を受けた母子のEMDR治療に関する臨床研究,乳児院入所児とその保護者に関する研究,子どものこころの診療におけるひとり親家庭の現状に関する研究などをおこなっています.

メンバー構成

奥山眞紀子,山崎知克,菊池麻沙美,江間彩子

活動施設

東京慈恵会医科大学附属病院総合母子医療センター,国立成育医療研究センターこころの診療部,
康心会汐見台病院小児科,浜松市子どものこころの診療所,山梨県立北病院精神科

主な参加学会

日本小児精神神経学会,日本小児心身医学会,日本子ども虐待防止学会,日本乳幼児医学心理学会,
日本夜尿症学会

代表的な業績

  • Kurokami T, Tachibana Y, Kogure M, Okuyama M : Pitfalls in the Recognition and Diagnosis of Munchausen Syndrome by Proxy. Clinics in Mother and Child Health 2016.
  • Yagi J, Fujiwara T, Yambe T, Okuyama M, Kawachi I, Sakai A. Does social capital reduce child behavior problems? Results from the Great East Japan Earthquake follow-up for Children Study,2016 Social Psychiatry and Psychiatry Epidemiology,Springer-Verlag, 2016;51(8):1117-23

若手へのメッセージ

わが国では毎年24,000人以上が自殺しており,東日本大震災とその関連死(約18,000人)を上回る数の命が失われています.精神医学領域では予防の体制が不十分であり,子どものこころの診療における問題も山積しています.この国の将来のために,親子の幸せのために,一緒に精神研究班で頑張っていきましょう.

研究班紹介